大学の中から(1)–大学における役職たち–
毎週木曜日を担当しますkurainです。このwebマガジンの主宰として1番手を申し付けられました。(主宰のほうが弱いのです。)
僕は留年経験があるせいもあって現在、在学7年目の修士2年生を北海道大学で過ごしています。もう大学の中でもベテランなわけですが、この後には博士課程という進路もあってもしそちらに進めばさらに3年間の学生生活が待っています。そんな長い大学生活の中で見えてきたもの、進路を選択する人にとって経験者からアドバイスできるものを僭越ながら記述していこうと考えています。
などがあって教員の気持ちというのは(個人で差はあるだろうにせよ)学生から察することも出来るわけです。
一方で学生のBLOGはいっぱいあるけれどテーマが散逸してしまって、”学生が大学をどうとらえているか。”という事だけを追っているBLOGは少ないようなきがします。(埋もれているだけの可能性もある)
そんな状況を踏まえて、この連載では現役大学生にとっての大学がどんなところか、学外の人や、これから進路として考えている人、教員の人にも伝えられたらと思っています。
理系の大学院に在籍していると、博士課程の存在など当たり前のように見えますが、文系で博士をとるのは今でも大変のようで数の少ない存在ですし、”ドクターに進学します”などと学外の人に言うと”お医者さんですか?すごいですね”とか言われてしまうことが間々あるようです。世間にとって大学の中なんてそんなものなのでしょう。ここでは大学の知られざる内面をお見せできたらとも思います。
ただし、一口に大学といっても、総合大学、単科大学、国立、私大、といろんな大学があるし学部学科によってだいぶ雰囲気も違うので僕が正確に記述できるのは北海道大学のある学科についてだけであると先に断っておきます。
前置きはこのぐらいにして、初回は大学内の役職についてご紹介しておきます。今後の連載にも出てくるであろうD1,B2,助教といった言葉がどういう意味なのかご説明します。
まずは、学生のほうから紹介しましょう。
学部生
いわゆる学生というのは、学部に所属している人間を指すものだと思います。工学部、法学部、文学部といった○○学部というところに所属しています。国内だと浪人なしで18才、飛び級入学制度のある特殊な大学で17才で入学できます。英語で bachelor student と言うことから学年数をつけてB3,B4などと呼ばれます。卒業すると学士という資格が取れます。
修士
学部を卒業した人間がもっと学びたいと思った場合進むことの出来る課程です。多くの大学の場合、大学院工学研究科、大学院情報科学研究科、といったように大学院○○研究科という組織に所属することになります。この後に博士課程があることから、博士前期課程と呼ぶこともあります。また大学院に所属することから院生と呼ばれるようになります。和製英語でMaster courseと呼ばれることから、M1,M2と呼ばれます。通常は2年で修了することが出来ます。卒業すると修士(Master)の称号を得ることができます。
国の方針で大学院大学とよばれる、大学院で研究・教育を行うことを主とする大学が増えており理系に進学するとかなりの割合で修士に進学することになります。
博士
修士を取得した後にさらに3年かけてその分野の専門家として認められるための課程です。3年在籍するだけでは博士号を取得することはかなわず、各大学が規定する博士号取得条件を満たさなければなりません。多くの場合は、論文誌に論文が何本か掲載されることとされています。論文誌とは論文を精査し、ある程度の質を備えた論文だけを掲載する雑誌のことです。学会や学術出版社が発行していて、有名どころではNatureやScienceといったものがあります。ただし、そんな有名どころに乗るのはよっぽど大きな発見であり、世の中には専門家にしかしられていない無名な論文誌が沢山あります。また、世界中の研究者があつまる国際学会での発表も博士号取得要件として認められる場合があります。学会とはなんなのかと言うことについてはまた機会を改めて書くつもりです。博士号が無事取得でき修了すると晴れて博士とよばれることができます。Dr.ですね。Ph.Dと書くほうが一般的です。課程在籍中はDoctor CourseからD1-D3と呼ばれます。標準年限は3年ですが取得要件が満たせなければD4に突入してしまう場合も有ります。
と、学生には3種類の立場があるわけです。このほかに、大学院入学試験に落ちた。試験は受けてないが合格するレベルに無い。といった人間が研究を続けるために大学院に所属する手段として研究生という立場もあります。基本的に、学部1-3年生は講義を受けて単位取得を目指すのがおもな活動であり、学部4年生から大学院生は研究活動をおこなうのが主になります。研究ってなに?というのもそのうち書いていきましょう。
続いて教員編です。
教授
一般的にも良く聞く役職ですが、大学の教員のなかでは一番偉い人です。この上に学部長や学長といった学校組織としての上の役職も有りますが、それは組織での話であって教員という意味では学部長や学科長だって教授に過ぎません。普通は一つの研究室の長となり、研究室での研究を指示していく人です。
準教授
かつては助教授と呼ばれていた役職です。教授に次ぐ偉い人です。偉いと言うのは曖昧な定義ですが給料がよいとか、裁量が大きいと考えてください。大学によっては研究室を持つことも出来ますが、私の大学では教授の持つ研究室に所属することになります。そのなかで学生を取り合うのか、教授と協力して同じテーマを研究していくのか、といった運営方針は研究室に任されています。
助教、助手
昔は助手しかなかったのですが、学生に教える講義を持つことができるのは助教だけで、助手は講義を持つことが出来ません。助という言葉がつくように、大学では研究室の手伝いをしながら自分の研究を進めて、次のポストを狙うことが多いようです。昔は任期のきまっていない助手も多かったのですが最近は任期がきまっていることが多く次のポストを探すのが大変です。
特任教授、特任準教授、特任助教
この特任という言葉がつく役職の場合、任期が定められている場合が多いです。これは、GCOEなどの大型予算が取れた大学がその予算が使える年限の間だけ助教として雇うといったものです。大型予算が取れたわけでなくても、特定のプロジェクトのために雇われることがあります。
ポストドクター
博士号を取得した人間が、すぐに助教などになれれば良いのですがあいにくそうポストがあるわけでも有りません。また、ポストに対して博士課程を修了する人間のほうが圧倒的に多いと言う現実もあります。そこで、まあ次のポストまでの中継ぎということでという形で雇われるのがポストドクターです。雇われているので給料はでます。研究も自分のために行って業績をためて、次のポストを狙いましょうという立場のように思えます。
がしかし、研究がどの程度うまく行くかは所属する研究室にもよる上に、在籍できる年限もきまっているのでなかなか大変な立場です。給料も多くない上に、年限があるためローンなどは組めないそうです。博士号取得者なので飛び級などをしていなければ28才よりは上と言うことです。立場が不安定ということで少し大学社会の問題とされています。
他にも、講師という、準教授にちかい立場の役職や、技官という技術系事務員、普通の事務員なども大学には居るわけですが大分長くなったのでここでは割愛します。おいおい登場してくれるかもしれません。
今後はこの上で紹介した立場の人たちがどんなことを考えどんな生活をしているのかレポートしていきます。