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のべかん第1回 ~NEETはダメ人間なのか~

2008年12月10日 siotsu

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しおつです、こんばんは。
のべかん第1回の今回は最初なので自重していわゆるラノベからスタート。ネタは最近のイチオシである杉井光氏の「神様のメモ帳」。

デビュー作のあとがきで一部の人に大人気になった(たぶん)杉井氏ですが、第12回電撃小説大賞・銀賞受賞作「火目の巫女」は和風ファンタジーな作品でした。同期受賞は、大賞・小河正岳氏(お留守バンシー)、金賞・来楽零氏(哀しみキメラ)、銀賞・支倉凍砂氏(狼と香辛料)、審査員奨励賞・御伽枕氏(天使のレシピ)というメンツです。
続く二シリーズ目の本作「神様のメモ帳」は打って変わって、現代を舞台に「ひきこもりのニート探偵・アリス」を始めとしたニートの人たちの話です。帯の表現を借りれば『第12回電撃小説大賞<銀賞>受賞者が贈るニートティーン・ストーリー』だそうです。ニートティーン・ストーリーって・・・。一巻の後書きから本作をもっとも端的に表していそうな部分を引用すると『無職野郎Nチーム』がもっともしっくりくるでしょう。

その他の作品は、「さよならピアノソナタ」(以上電撃文庫)や「ばけらの!」「さくらファミリア」(GA文庫)、「死図眼のイタカ」(一迅社文庫)などで、特に最近は刊行ペースが速くてちょっと働き過ぎな感じです。

本シリーズの中心になるニートという単語について少し。
ニート=ひきこもりのダメ人間という等式が日本では固まりつつありますが、本作ではそのへんのニュアンスは薄く(まあダメはダメなんですが)本義に近い使われ方をしています。
ニート(NEET)というのは「Not currently engaged in Employment, Education or Training」(Wikipediaより)からの単語で、なんも考えんと直訳すると「雇用されてない。学生でもない。職業訓練も受けていない」という感じでしょうか。職業訓練は少なくとも私としてはあまり馴染みがないのですが、まあそもそもが外来語なので。そのへんの話は作中で少佐(攻殻機動隊のあの人ではもちろんなくて)とか、後書きで杉井氏自身が解説してくれてるのでそちらに。
余談ですが、たぶん私は作中の登場ニートだと少佐に一番近いのかなあ、などと思ったりもしています。

同じ「ニート」という単語にしても、「生き方」だったり「文化依存症」だったり「生まれたときみんな無職」だったり(そりゃそうだ)それぞれに捉え方が違ったりします。アリスに言わせれば「ルールが違う」んだそうですが。そのあたりの違いを考えてみるのもそれはそれで楽しめるかもしれません。
ちなみに今挙げた中だと、私は「文化依存症」が一番しっくりくるなと思います。文化、文明がなければニートは生きられないのですよ。
そもそも働かないでも食っていけるのが人類の夢で、そのために文明を発達させてきたわけですから、働かない層が存在するだけで大騒ぎするのは姿勢としてどうなのかと。働かないでも生活が成立するなら誰も好きこのんで働かないよ! と言うと「いや、例え働かなくても生きていけるとしても俺は仕事が好きだ」という人がいるかもしれませんが、生活の維持という目的と切り離された労働はただの趣味なのでそれは仕事ではありません。趣味です。

さて、なんか話がそれましたが。
本シリーズはニート探偵・アリス+ラーメン屋にたむろしてるニートたちとの出会いを通じて、僕・藤島ナルミが青春しながら成長していくようなストーリーです。
書いてしまうと一行なんですが、まあ青春時代だけにいろいろあるわけで、ただ漠然とした不安と言ったのは誰だったか忘れましたが、本作中のニートの人たちからは「何をすればいいのか」とか「どう頑張ればいいのか」という部分を上手く処理できず(あるいは、できなかった結果として)ニートになった(ニートになるという表現が適切なのかどうかは分かりませんが、便宜上)という印象を受けます。
ベクトルになれなかったスカラー、方向性を上手く持てないがゆえのスカラー(つまりニート)です。
だいたいの人は、分からないなりに適当にやって、あるいは割り切ってどうにかする(なる)ことだと思いますが、あるいはそもそも考えもしないというような幸せな人もいるかもしれません。
大学でぐでぐでしていて留年したような人には(私のことです、もちろん)主要登場ニートの気持ちに共感できるところも多いと思います。私の個人的な体験としては、大学二年の時にそのへん割り切った(というか諦めた)のですが、微妙な時期だったこともあってそのまま一年追加しました。
そういう経験があるとよりいっそう楽しめる(?)作品です。

『ニートが三人と将来たぶんニートになる頭の悪い高校生が一人集まって、なにができる? こんなちっぽけな手が八つ集まったところで、なにが』という僕に対して『なんだってできるだろ』と何でもないことのようにテツ先輩が言ってのけるシーン。ここは格好良かった。鼻水出ました。テツ先輩に限らず、ヒロさんといい少佐といい、本作の登場ニートは妙な具合に前向きで、後半のダウナー展開が鬱一辺倒になっていないのが救いです。

さて、総括ですが。本シリーズはオススメです。
今回は主に一巻のストーリーにしか触れていませんが、二巻は
本作に限らず、「さよならピアノソナタ」などの杉井作品は「青春時代に失敗したいい年した大人が凹みながら読む」のがベストな読み方のような気がします。いやもちろん好きに読むに越したことはないんですが。

今のところ、「神様のメモ帳」は3巻まで出版されてます。
「さよならピアノソナタ」も12月発売の4巻で完結らしいので、あまり長いシリーズはちょっと・・・という人にもオススメ。こちらは完結してから改めて取り上げる予定です。予定。

参考:
Wikipedia - ニート
NEET TEEN

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