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のべかん第3回 〜東洋的ホラー〜

2008年12月24日 siotsu

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第3回となる『のべかん』ですが、今回はジャパニーズ・ホラーということで甲田学人氏の『Missing』です。

『Missing』は全13巻+外伝『夜魔』1巻の系14冊で完結済みのシリーズです。
房総半島の都市・挟間市にある高校を舞台に、都市伝説や怪談をモチーフとした事件を描いていく本シリーズ。第一巻は「神隠し」を主題に話が展開していきます。

さて。
作者・甲田氏はオカルトや都市伝説、民俗学などに造詣が深いらしく、作中での語りも魅力の一つ。柳田翁などの著作に興味を持ったことがある人ならば、この辺の『講義』が楽しめるかと。
私はあんまり詳しくないんですが、一巻に出ていた中だと、フレイザーは『金枝篇』の作者だったっけなあという程度。まあそれでも楽しめます。

また、大迫栄一郎という架空の作者による作中作の引用を多用し説得力を増す手法は、どこかクトゥルー的。関わった人物が発狂するとか死ぬとか、あまり嬉しくない末路を辿るのも、やはりクトゥルー的かもしれない。しかし『Missing』のベースにあるのは都市伝説や怪談ですから、単純にバッドエンドの怪談なだけかもしれません。

そしてなにより、本シリーズ最大の魅力は「ホラー」であるということ。
多少グロい表現もありますが(たぶん森鴎外の『高瀬舟』くらい。気分的には)怪談としての怖さをきっちりと表現できているところが凄い。例えるならば、夜中に一人でホラー映画を見たあとでコンビニにアイスでも買いに行くか、と出かけたときの「何もいないことは確定的に明らかなんだけど、なんか後ろが気になるなあ」という『あの』感覚。
たぶん夜中にカーテン開けっ放しで読むと結構怖い気がします。少なくとも私はやる気がしません。
この辺の怖さというのが日本的な怖さのような気がします。西洋的なホラーはもっと具体的な何かが怖い、という印象がありますね。

『Missing』を一言で言ってしまうと、『怪談や都市伝説やオカルトをベースにしたライトノベル』でしょうし、事実、この手のラノベはいっぱいあります。じゃあ『Missing』の強みはなんだいな、というと「普通に怖い」という事でしょう。
とはいえ、文章が万人受けするか、というとそうでもなく、結構好みが分かれます。
このあたりの好みに合う・合わないというのは、たぶん文章の解釈の仕方によるのかな、という気がします。
文章を文字の集合と捉える人には、たぶん合わないでしょう。おそらく、どこが怖いのか分かってもらえないと思います。
文章から映像(でも静止画でもなんでもいいわけですが、とにかくビジュアル的なイメージ)を作りながら読んでいく人には、たぶん合うと思います。
まあ、どっちの読み方かというのは優劣の問題でなく、それこそ好みの問題でしかないわけですが。

ちなみに甲田氏は『Missing』がデビュー作なので、一巻ではまだこなれていないところも多々見受けられます。2巻以降はだんだんとこなれてきますので、興味を持たれたら二〜三冊まとめて読んでみることをオススメします。

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