Home > chi, 生態学 > セクシャルストーリー②

セクシャルストーリー②

2009年1月6日 chi

前回の続き。
前回は、その昔生き物に性別なんてものはなかったのに、配偶子に質or量を求めたやつのほうが子供を多く残すことが出来たので、メスとオスの2タイプが生まれたのでした、と言う内容でした。性が生まれたとき、性別とは精子を作るか卵子を作るかの違いでしかありませんでした(まぁ、極論を言えば今でもそうですけども)。しかし、今性別というものをみると、作る配偶子以外の部分にも違いが見られます。体の形、体の大きさ、模様、性格などなど、別に配偶子作成には関係ないんじゃないだろか、と言う部分にも違いらしきものが伺えます。このような形質はどのように進化し、定着していったのでしょうか。今回はそんなお話です。

オスとメスの違いは多数ありますが、見た目にもわかりやすい『体の大きさ』から行ってみましょう。
前々回お伝えしたように、一般的に動物はオスのほうが大きいです。それはもう様々な動物群で見られます。これは、オスがメスを獲得する上で体が大きいほうが優位だから、と考えられています。

大きいほうがケンカに強そう→ケンカに勝ったら縄張りが広がる→縄張り内の食べ物と場所とメスが手に入る ・・・(i)

となるわけです。メスにもたくさんの資源が手に入る上、強いオスの遺伝子をもらえるので自分の子供も強くなる可能性が出てくるという一石二鳥の条件です。
オスは質より量を選んだタイプです。配偶相手のメス自体についても同様で、魅力的なメス1匹と子供を残すよりも普通のメスたくさんと配偶するほうが子供を残す上で有利なのです。

精子は作るコストが低い(小さいから)→使用してもすぐに再生産可能→1回に全力投球するより小分けして複数回使ったほうが効率的→1匹の良いメスよりもたくさんのメスと配偶したほうが良い→そのために他のオスより魅力的でなくてはならない→(i)式へ

となるわけです。

オスがメスを獲得する上で体が大きいほうが有利な理由としてもうひとつ挙げられているのが下式です

大きいということは他のオスより成長が良いor資源を多く持つ→生き残りやすい?!→そんなオスとの子供なら自分の遺伝子が残るかも(by メス) ・・・(ii)

このためメスに選ばれやすくなるので、大きいオスが残ったとも言われています。

さて、これまでメス獲得に焦点を当ててオスの大きな体について述べてきましたが、別な観点からこれを説明している研究者もいます。それは子供の世話です。子供の世話をするのはオスでしょうか?それともメスでしょうか?ヒトの場合は女性ですね。他の動物を見てもこの傾向が見られます。実はこれ、非常に効率的な役割分担なのです。

メスは(精子より大きな)卵子を作るので、そのコストは精子の比ではありません。一度子供が出来ると、次の子を産む準備が出来るまで時間が必要です。この状況でもしオスが子育てをするとどうなるでしょうか?子育て中、オスは他のメスと繁殖する余裕がありません。メスも準備期間で繁殖する余裕がありません。つまりオスもメスもどちらも繁殖できなくなるのです。
では、メスが子育てをするとどうでしょうか?オスは一度繁殖してもすぐに次の繁殖が可能です。メスは独り身であっても繁殖する余裕がないので、子育てをして栄養をためること、子供を保護して生存率を上げることに専念したほうがよい、とこうなるわけです。しかも、繁殖期の後半になるほど繁殖に参加できるメスが少なくなり、実際に子供を作れるオスとメスの性比はオスに偏るので、どうしてもオスがあぶれてしまうのです。そうするとメス獲得のための争いがオス間で起こりやすくなるのです。

メスが子育てをする→繁殖できるメスが減るので実質的な性比(実効性比)がオスに偏る→オス同士の争いが起こる

となるわけです。こちらはこちらで面白い説ですね。しかも、この説を用いれば、メスが大きい種類の説明もできるのです。それはまた次回の講釈で。

chi, 生態学

  1. No comments yet.
  1. No trackbacks yet.