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人はなぜ山に登るのか

2009年1月12日 hige

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神々の山嶺 (夢枕獏 著、集英社文庫)

ネパールのカトマンズ、日本人のフリーカメラマンが町の土産屋でひとつのカメラを見つけるところから物語は始まる。
なんとこのカメラは、あのエベレスト登頂前で姿を消したマロリーのカメラとまったく同じタイプのものだったのである。
これが本物だとすればエベレスト頂上への初登頂の記録が書き換わるかもしれない、だがカメラの中にはフイルムが見あたらなかった。
果たしてカメラの真贋とフイルムの行方は?カメラの出所を探るうちに見えてくるひとりの男の正体は?
夢枕獏が贈る、謎が謎を呼ぶ山岳ミステリーの決定版!

というのは大嘘です。導入の概略は合ってるんですが本筋がまったく違います。
獏先生は良くも悪くもスマートな話は書けないのです。
マロリーのカメラなんていう死者の遺物を持ち出してもヒマラヤの山々はまったく見えてこない。山と対峙するのは山に登る生きた人間だけなのだから。
獏先生が書くのは浪漫も謎も無く、ただまっすぐに山の頂を目指す男たちの物語。
これはカメラの謎を追うミステリーではない、山に登ること以外なんにも無くなってしまった一人の男の物語なのである。

登山どころかアウトドアスポーツ全般の面白さがさっぱり分からない私がマジ泣きした山岳小説。
下手な感動ものなんて買わずにこれを買うと良いです。ハイ。
谷口ジロー氏による漫画版も超お薦め、原作とまるで遜色の無い見事なコミカライズ。文庫版がお手ごろで良し。

完全インドア派の私も山に登ってみたくなる、そんな小説。

hige, 書籍

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