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セクシャルストーリー③

2009年1月20日 chi

どんだけ性的な話が好きなんだと言われかねませんが、セクシャルストーリー第3弾です。前回はオスのお話をしました。オスはもともと配偶相手(つまりメス)に質より量を求める性質がある。そのため、子育てをする動物では、オスは子育てより他のメスを探すことに専念するし、そのほうが効率が良い。なので、メスをめぐるオス同士の争いが起こりやすく、オスが大きい(ケンカに有利な)体を持つようになった。というお話でした。今回はメスに焦点を当てたいと思います。メスはほんとにオスより小さいのか?メスが大きくなる条件とは?メスがオスに求めるものとは?では、行ってみましょう。

オスとメスの大きさが違うとき、これはどちらかが「大きい」のでしょうか。それともどちらかが「小さい」のでしょうか。答えは一方が「大きい」のです。
そもそも、生物の体は大きいほうが繁殖上有利と考えられます。一般的に、生物は相対的に成長します。つまり、体が大きいと、頭や手足、骨、内臓などの器官も大きくなります。大人のほうが子供より手足や体の器官が大きいですね。栄養が足りなかったからと言って体の一部が極端に小さいなんてことが無いのはこのためです。
したがって、体が大きいほうが繁殖組織が大きくなるので、性別に関わらず体が大きいほうが有利となります。要はオスだろうとメスだろうと大きくなりたいのです。ですが、”自然選択”の壁により一定以上の大きさにはなれません。大きすぎる体は生存に不利なのです。
前回、オス>メスのような種では、メスをめぐるオス同士の争いにより大きくなったとお話しました。これはオスに”性選択”が働いていることをあらわします。つまり、

メス・・・自然選択のみ
オス・・・自然選択+性選択

となるわけです。これより、メスは「最適な大きさ」であり、オスは「最適よりも大きい」と言えます。メスは小さくありません。オスが大きいのです。

さて、これまでオス>メスの種ばかりお話してきましたが、オス<メスの種はいないのでしょうか?
そんなことはありません。いろいろいます・・・と言ってもあまり出てきませんでした。私の知っているところでは、カマキリ、カレイ・カジカ類の一部、クマノミ、ベラなど。チョウチンアンコウの雌雄差は極端にもほどがありますね(メス:50cm、オス:4cm)。ほとんど魚でしたが、たぶん他の動物群にもいると思います。まぁ、それはともかく。
いくつかオス<メスとなる種はいますが、条件はそれぞれ異なります。それは以下のとおり。

1.子育てをオスがする場合(カジカなど)
2.社会的階級がある場合(クマノミ、ベラなど)。
3.極端な環境に生息している場合(チョウチンアンコウなど)。
4.その他

こんなところでしょうか。

子育てをオスがする場合は、オス>メス種と同じ理由でメスが大きくなります。

オスが子育てをする→繁殖期後半になると繁殖に参加できるオスが減る→繁殖可能個体の性比がメスに偏る→オスをめぐるメス同士の争いが起こる

まぁ、こんな感じです。

社会的階級は魚類で見られる社会性です。性転換をするクマノミやベラの仲間でみられ、彼らはもっぱらグループ単位でくらし、グループ内の個体の大きさはそれぞれ異なります。1番大きい個体がメス、次に大きい個体がオス、その次もオス(もしくは未成熟)、その次もオス(もしくは未成熟)・・・と続いていき、それぞれの体長は一定間隔で必ず開きがあります。例えば、メスが7cmなら、次のオスは6cm、次は5cm・・・となります。
この社会的階級を持つ種で繁殖できるのはメスと一番大きいオスだけです。2番目以降の個体は繁殖できません。つまり、実質的に一夫一妻制となるので、オスは体が大きい必要はありません。むしろ、無駄に精子を作らない分小さいほうが有利と言えます。これによりメスのほうが大きくなったと考えられます。
「オスがたくさんいるならメスをめぐる争いが起こったり、結果オスが大きくなったりするんじゃないのか」とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、この社会的階級は少々ややこしい条件があり、今回すべてをお伝えすることは出来ません。機会があれば、動物の社会性のお話の中でなぜオスが大きくならないのかについてお話したいと思いますのでご容赦を。

さて、最後の極端な環境に生息する場合です。例であげたチョウチンアンコウは深海という特殊環境に生息しています。深海は真っ暗で、視覚より触角を頼りに生き抜かなければなりません。深海は生物の生息環境としては厳しく、もともとの生物数が非常に少ないです。加えて、視覚よりも範囲が限られる触角に頼らなければならないので、自分以外の動物に遭遇する機会は極めて少ないのです。つまり、配偶相手に遭遇する機会が無いに等しいのです。
そんな状況下での繁殖はおそらく生涯に一度あるかないか分かりません。そこで、オスはメスに精子を渡すこと、メスは出来るだけ多くの卵子を作り子を残すことに特化していきました。オスは生存に必要なだけの大きさの体があればよいので小さく、メスは出来るだけ多くの卵子を作るため大きくなっていったのです。

以上のような理由から、オス<メスのような種が生まれたと考えられています。結果は同じでも過程はぜんぜん違いますね。やっぱり生き物は面白いです。もうひとつ「メスがオスに求めるものとは?」というお話をしようと考えていたのですが、疲れてきましたので次回に回したいと思います。それではここいらで。

chi, 生態学

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