クリスティー作品紹介ふたつめ
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ABC殺人事件 アガサ・クリスティー著 訳と出版はいっぱい在り過ぎ
どの時代、どの国のものでもシリーズ推理小説は常に構造的にマンネリ化する。
名探偵がなぜか殺人事件に遭遇し、その事件は常に謎を伴っているという定型化だ。
コナン、金田一現象とも言う。
嘘、言わないです。
小説の中の殺人事件は常に内側からの殺人である。
被害者も被害者候補も犯人も犯人候補も、あらゆるキャストと状況がひとつの物理的、関係的制限を受けて囲い込みをされる。
古今東西あらゆるシリーズ推理小説が、同じ主人公を常に据える限り、この罠に陥っていくことになる。
わざわざ例は挙げ無くても良いだろう。沢山在りすぎるでしょう?
このABC殺人事件はエルキュール・ポワロを探偵役に据えたアガサ・クリスティーの代表作のひとつである。
あらすじはこうである。
ある日ポワロの元にアンドーバーという町に注意せよという挑発めいた手紙が届く。
そしてその田舎町、アンドーバーでアリス・アッシャーという老婦人が殺され、死体の傍にはABC鉄道案内がAの頁を開いて置かれていた。
事件は不気味な符号と共に幕を開けるのだ。
その後も手紙にあわせて事件が続発することになる。
ベクスヒルではベティー・バーナードが、チャーストンではカーマイケル・クラークが死体となって発見される。
そしてそのどちらにも遺体の傍にB、Cそれぞれのページを開いたABC鉄道案内が……。
ようやく事件として立ち現れてくる、ABCの順で無作為に殺人を行うシリアルキラーの存在。
推理をしようにも、犯人候補は全英国中の全ての人間なのである。
完全なる外側からの殺人、果たしてポワロは事件に対して立ち向かうことが出来るのか。
さすがクリスティー!並みの作家に出来ないことを平然とやってのける!
推理小説の形式に対する挑戦!しかも斬新なだけでなく話の完成度自体も非常に高い。
ミステリの女王の貫禄バリバリである。
推理ものが好きな方は読んでおいて損は無いだろう。
というか推理好きの人は既に読んでいる気もするけれど……。
まあいいか。