Home > chi, 生態学 > セクシャルストーリー④

セクシャルストーリー④

2009年1月27日 chi

前回途中で終わってしまったのでその続きから。メスに焦点を当てたお話の後半戦です。
今回のテーマは”メスがオスに求めるものとは?”です。オスはメスに質より”量”を求めました。メスは一体何を求めるのでしょうか?

繁殖の上でオスは基本的にメスであればなんでも良いというお話をしました。そのため、オス:メス=1:複(一夫多妻)となることが多く、メスはオスに選ばれるがままのような印象を受けます。しかし、メスはとてもしたたかな生き物。オスに選ばれているように見えて、実はメスがオスを選んでいることが近年わかってきました。
オスと違い、メスは量より”質”を求める生き物です。つまり、より質の良いオスを求めるのです。質の良いオスとは、”自分(メス)の遺伝子を子孫代々残してくれるオス”です。もし質の悪いオスとの子を残そうとするとうまく繁殖ができないかもしれません。もし子供が残せても繁殖するまで成長できないかもしれません。オスより配偶相手の数が少ないメスはそんなことに気を使わなければならないのです。

例えば、アイナメと言う魚は、オスが縄張りを作り、メスがそこに訪れて産卵すると言う繁殖形態を持ちます。もちろんメスは1匹とは限らず、1つの縄張りに複数のメスの卵塊があることも良くあります。繁殖の時期、メスはどのオスの縄張りで産卵するかを決めなければなりません。その基準のひとつに「縄張りの中の卵(卵塊)数が多い場所」と言うものがあります。どういうことかというと、たくさんの卵塊を保護している(できる)オスは子育て能力があり、自分の卵も無事孵化させてくれると期待できる、ということなのです。そして、そんなオスの子ならその子の子育て能力も高く、結果孫を残す可能性も高いかもしれない、と言う期待も含まれているのです。

また、ヤドカリの仲間では繁殖の時期、オスがハサミ足でメスの貝殻をはさんで1週間ほど離さずに持ち続けます。その間、メスを横取りしようとやってきたオスと、貝殻を持っているオスの間でけんかが起こる場合もあります。オスに捕まっている間、メスはじっとしたままです。このとき、メスは何があっても貝殻を離さないオスを選んでいるのです。つまり、他のオスより強いオスを選んでいるわけです。仮に別なオスに横取りされたとしても、メスにとってはより強いオスが自分を選んでくれたわけなので、むしろウエルカムなのです。

さらに、メスが1回産卵の前に複数のオスと交尾する生き物がいます(確か昆虫だったと思います)。つまり、メスの体内には複数のオス由来の精子が含まれています。すると、その子供のオス親が誰かという期待値は、ほぼ均等になるか昇順or降順になると予測されます。例えば、オスA、B、C(交尾順:A→B→C)の精子があるとすると、オスA、B、Cの子の数は、1:1:1か、A→B→CorC→B→Aの順になると予測されます。しかし、まったく持ってその期待通りにはなりません。ある特定のオスの子の数が多くなるのです。複数のメスで人工的に順番を入れ替えても、やはり特定のオスの子が多くなるのです。すなわち、メスが特定のオスの精子を選んで受精させている可能性がある、と言うことなのです。
これに関しては例が少ないのですが、そのような傾向が見られる現象はいくつも見られています。専門的には「Criptic Female Choice”隠れたメスによる選択”」と呼ばれ、ここ最近生態学の分野で熱くなりかけている分野です。

このように、メスは見えないところでしっかりとオスを選んでいるのです。人間を見ていても女性のほうがしたたかな印象があるはこのためかもしれませんね。
男性は浮気性、女性はしたたか。これは生態学的に見て当然の結果だと思います。まぁ、何が言いたかったかと言うと、これが言いたかったのかもしれませんね。
おしまい。

chi, 生態学

  1. No comments yet.
  1. No trackbacks yet.