のべかん第9回 〜スピードは正義 第2回〜
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さて、電撃小説大賞が発表になったからにはとりあえず買わねばなるまい、ということで一通り買ってきました。買うのは買うんですが「積ん読」になる場合も多々ある(というか、これは新人賞がらみに限ったことではないんですが)わけでして、しかし今は修士論文の締め切り目前なので読みましたとも。
というわけで、今回は川原礫 氏の「アクセル・ワールド」でお送りします。奇遇にも帯の推薦文と巻末の頭の悪い(褒め言葉)おまけが前回(のべかん第8回)の川上稔 氏。奇遇ですね。
さて、本作「アクセル・ワールド」ですが、近未来と言うにはちょっと微妙な近さの未来が舞台。具体的な年は(たぶん)出てきてない気がしますが、30年代の技術が古いというような描写があるので2040年代とかそんなもんでしょうか。ニューロリンカーと呼ばれる脳と量子的に接続されるデバイスが普及した時代。主人公の有田春雪は黒雪姫によって思考を一千倍に加速する≪ブレイン・バースト≫と呼ばれるプログラムと出会う。しかしこの≪ブレイン・バースト≫は大がかりなオンライン対戦格闘遭遇戦ゲームでもあり…というのがあらすじというか大枠です。
主人公・有田春雪は絵に描いたような見事ないじめられっ子で、そんな彼と(たぶん)ヒロインである美貌の副会長、黒雪姫(先輩。ていうかこの人最後まで名前出てこなかったね)の出会いとハルユキの成長がネタバレに気をつけるとメイン。主人公がいじめられっ子というのは豪屋大介 氏の「A君(17)の戦争」もそうでしたが、ハルユキは同シリーズ主人公の小野寺剛士君ほど全力でひねくれているわけではなく、黒雪姫(先輩)との出会いとブレインバーストと、あとまあ色々を通して普通に前向きに成長していきます。青春だね。
青春な感じでゲーム内を扱ったラノベと言えば桜坂洋 氏の「スラムオンライン」などがありますが、感覚的には似ているのかどうなのか。土橋真二郎 氏を漂白した感じの作風、という表現がどのくらいはまってるのかは知りませんが、個人的にはそんな印象。
スピードをモチーフにしているのは川上稔 氏のWeb小説(?)「-翼-」とかでしょーか。読みながら川上稔 氏の「-翼-」と空気感が似てるなーと思ったのはあんまり気のせいでもないはずで、だからこそ氏が帯の推薦文を書いているんじゃないでしょうか。気のせいかもしれませんが。
個人的に、新人賞で続き物はどうなのよと言う気がしているわけですが(今に始まったことではないですが。あともちろんこれは作者には何の関係もなく、選考委員とか会社のノリの話です)シリーズものの一巻としては普通に楽しめます。
…なんだこの微妙な結論。
いやほら、話的には王道で鉄板で普通に楽しめるんですが、新人賞ってコメントしにくいですよね。新人ならではの〜とか新人っぽい〜とかは頭悪そうだから書きたくないし。読む方にしてみれば新人だろうがベテランだろうが楽しめればいいわけですから。
うん、楽しめました。
参考:
「ー翼ー」川上稔