Home > chi, > 魚の年齢の調べ方。

魚の年齢の調べ方。

2009年2月18日 chi

先日は更新を見送ると言う愚行、大変申し訳ありませんでした。まず最初にお詫び申し上げます。『FFやった後寝落ちした』なんてとても言えません。
というわけで、今日は魚の年齢のお話です。

魚の年齢は『耳石』というものを使って推定します。名前の通り、耳の中にある石のようなもので、平衡感覚を保つためにあります。魚にももちろん耳はありますよ。人のように外についてる部分がなく、人で言う鼓膜より中の部分がある、と思っていただければよいかと思います。
耳石は片側に3個あります。相対的な大きさを言えば、”大・小・極小”といったところでしょうか。”耳石”と言えば、通常一番大きいものを指します。
絶対的な大きさは魚の種類によって全然違います。大きい種類ほど大きいわけでもなく、小さい種類でも大きいものもあります。スケトウダライシモチなんかは体の割りにかなり大きい耳石を持ちます(だからイシモチという名前らしい)。
でも、形は種類によって違うようで、魚の分類にも用いられることもあります。耳石図鑑なんてのもあります。

さて、この耳石をどうするのかというと、”顕微鏡で見る”、ただそれだけです。木の年輪のように、耳石にもたくさんの輪が見えます。それを数えるのです。
低倍率の顕微鏡で見ると”年輪”が見え、高倍率の顕微鏡で見ると”日輪”が見えます。年齢どころか生後何日目かもわかるのです。
ただし、日輪の場合気をつけなければいけないことがあります。①何日で1本、日輪が出来るのか、②孵化何日目(何日前)から日輪が出来るのか、この2つがわからなければ日齢はわかりません。日輪が10本あったからといって、生後10日目とは限らないのです。いろいろな研究で日齢は調べられていますが、日輪を数えることよりも、その2つを決定することのほうがはるかに難しいのです。私も実際苦労して、そのまま挫折しました。

Q.魚の年齢がわかるとなんかいいことあるの?

A.わかったら面白いじゃん?

そんなわけありません。そんな理由で研究が成り立つほど世の中甘くはないのです。
日輪や年輪は、耳石の成長過程に伴いついていくもので、同じ種類の魚であれば、基本的に大きい個体ほど耳石も大きくなります。つまり、魚の体長と耳石には正の相関があります。
サンプルを同じ年齢ごとにまとめれば、「個体群の年齢組成」と「年齢ごとの体長組成」がわかります。生殖腺なんかも一緒に調べれば、「成熟するときの体長」がわかり、これらを組み合わせると、”何歳くらいまで生き、何歳から繁殖する”ということが推定できます。
この情報は、資源量推定や資源保護の上で非常に重要です。

例えば、ある魚が「5歳まで生き、1歳で繁殖する」ことがわかったとしましょう。
この魚の漁獲量が激減したとき、休漁すべきでしょうか。それとも、漁獲サイズを制限すべきでしょうか。おそらく後者が正解です。仮に1歳以上の個体がすべていなくなっていたとしても、残った個体は翌年には繁殖できるので個体群は維持されます。なので、少なくとも1~2歳以上のサイズだけ漁獲する、とすれば漁獲は持続可能です。

では、別の魚で「15歳までいき、7歳で繁殖する」ことがわかったとしましょう。この場合はどちらがよいでしょうか。
ほぼ確実に休漁すべきです。漁獲サイズ制限もしなければならないかもしれません。例えば、現在の漁獲サイズを考えると3歳以上の個体を漁獲していることがわかったとしましょう。残った個体は大きくても2歳です。つまり、少なくとも5年待たなければ個体群は増えないのです。その間は、<0歳・1歳・2歳>だった個体群構成が<3歳・4歳・5歳>という年齢組成になるだけなのです。また、ギリギリ7歳以上の個体を漁獲可能とするよりも、余裕をもって9歳以上としたほうが良いかもしれません。

このように、年齢(と繁殖可能年齢)がわかるだけでいろいろな対策が考えられるのです。魚の年齢は持続可能な漁業を実現する上でなくてはならない情報です。もし魚の年齢に興味があれば、尾頭付の魚を買ってきて耳石を見てみるのも良いでしょう。と言うわけで、今日のおかずは秋刀魚の塩焼きです。

chi,

  1. No comments yet.
  1. No trackbacks yet.