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乾燥とプレデターの板ばさみ

2009年2月24日 chi

生き物全般に言えることですが、乾燥は生きていくために超えなければいけない障害のひとつです。とりわけ水辺の生き物にとって重要となります。わずかでも乾燥に耐性が高いだけで生き延びられると言うことが少ないのです。今日は実際にそれが見られる場所について紹介します。

皆さんは磯に行ったことはありますか?
岩肌がむき出しでちょっと歩きにくく、ところどころに潮溜まりがあって、ヒトデとかヤドカリとかイソギンチャクとかが見られる場所です。
干潮のとき磯に行くと、水面あたりになにやら白っぽいものやら黒っぽいものがびっしりとついているかと思います。しかも、水面に沿って(水面に平行して)きれいに並んでいます。
陸に近いほうから順に、小さいフジツボ、大きいフジツボ、黒っぽい貝、日本のどこに行っても大抵こんな順で並んでいます。私が住んでいた函館では、それぞれ、イワフジツボ、チシマフジツボ、ムラサキインコガイが該当します。ちなみに、フジツボはあれでも貝の仲間です。また、ムラサキインコガイは二枚貝の仲間で、いわゆるムールガイの一種です。

ではなぜ、このようにどこに行ってもきれいに分かれているのでしょうか。
それは乾燥に対する耐性が種で違うからです。干潮のときどれだけ波をかぶるかによって、どのラインまでどの種が生存できるかが決められるのです。イワフジツボは水しぶきが少しかかるだけで乾燥に耐えられます。チシマフジツボはある程度かぶらないと乾燥に耐えられません。ムラサキインコガイはかなりかぶらないと乾燥に耐えられません。
非常にアバウトな表現で申し訳ないのですが、大体こんな感じで境界線が決まっているのです。図で書くと下のようになります。

-----------(水生生物の乾燥限界)-----------  ←満潮時の水面

                イワフジツボゾーン

----------(チシマフジツボの乾燥限界)----------

                チシマフジツボゾーン

----------(ムラサキインコの乾燥限界)---------- 

               ムラサキインコガイゾーン                  ←干潮時の水面

このように、日本のいたるところで、乾燥に対する耐性で生存範囲が決まる、という実例が観察できるのです。
それはもうきれいに層ができているので、海の近くに住んでいる方は見に行ってみるとなかなか面白いと思います。

ところで、この境界は乾燥だけでできているわけではありません。たとえば、イワフジツボは最も乾燥に耐性があるのにチシマフジツボの乾燥限界より下(海側)にはほとんどいません。これは、チシマフジツボに押し負けてしまうからです。フジツボは一度着底すると一生そこで成長しなければなりません。小さいイワフジツボは、どうしてもチシマフジツボの大きさに勝てず、文字通り”押しつぶ”されてしまうのです。
”ムラサキインコの乾燥限界”についてはよく知らないので興味ある方はお調べください(ぇ。
また、ムラサキインコもあまり深いところまでは生息できません。それは、水面下ではいなかった捕食者が、水中にはいるからです。

このように、磯に生息する貝の仲間の生息範囲は、乾燥によって上限が、捕食者・競争者によって下限決まっているのです。
身近なところに普通にある風景の中にも、したたかで厳しい生存競争が繰り広げられているのですね。

chi, 生態学,

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