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のべかん第12回 ~情報系には特に~

2009年3月4日 siotsu

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ものがいっぱいある人にとって引越って悪夢ですよね。段ボールハウスからのべかん第12回をお送りします。今回は三枝零一氏のSFアクション「ウィザーズ・ブレイン」です。

舞台は22世紀も終わろうかという西暦2198年。
化石燃料はほぼ枯渇し、太陽光発電にエネルギーの軸足を移していた人類は、大気制御衛星の暴走により日照を遮られたことで深刻なエネルギー不足に陥っていた。残されたわずかなエネルギーを巡って勃発した第三次世界大戦とその後の混乱で人口は2億人程度にまで減少していた。生き残りの人類はシティと呼ばれる超大型建築物に閉じこもって暮らしている。
というわりかしハードな未来を舞台にするのが本作、ウィザーズ・ブレイン。

そして『ある一定以上の速度を持つコンピュータなら全て、現実世界に干渉出来る』という情報制御理論に基づき、脳に高速な生体コンピュータ(I-ブレイン)を持ち、強力な力を発揮する魔法士たち。
表題の由来にもなっているこの魔法士が重要な位置を占めるわけですが、もとが第7回ゲーム小説大賞・銀賞受賞作だけに、命名も「騎士」や「光使い」などゲーム的な感じになっています。
で、ようやく今回のサブタイにつながるわけですが、魔法士の能力展開プロセスがUnix系のOSっぽくて情報系には燃え萌えです。

分類的にはアクション要素を多分に含んだSFというところで、魔法士同士の戦闘シーンがアクション要素の見所。
基本的に魔法士のI-ブレインは基本的に少数機能に特化しています。というかあまりたくさんのことが出来るようにしても役に立つレベルにならない、というのが正確らしいですが。
例えば「騎士」なら自己領域と呼ばれる「自分に都合のいい空間」を作り出すのが特徴的な能力として挙げられています。この「自己領域」内では、光速度定数やプランク定数と言った基本的な定数を自分に都合のいいように書き換えることが出来ます。
が、他のことはほとんどできませんので、自分が魔法士としてどのタイプなのか分かると、必然的に出来ることもある程度予測されてしまうわけです。お互いにある程度手の内を把握した状態でどう戦うのか、というのが魔法士戦のポイントで、詰め将棋のような独特の戦闘が魅力。

SF要素の他にも本作の魅力を上げろと言われても困るくらいにはあるわけなんですが、SF的な設定の風呂敷のデカさ、魔法士を始めとするキャラクターの面々、そして魔法士と普通の人間の対立構造、シティとその他の町で細々と暮らす人々の対立、などなど。
世の中にはいろんな人がいるというのがちゃんと書かれている、というか、登場人物がそれぞれ自分なりの世界観を持っているのがキャラクターと世界観の魅力でしょう。
とにかくスケールの大きさと奥行きの深さに関してはラノベでも屈指のSFなんじゃないでしょうか。

1巻刊行は2000年と少し古いものの、人気シリーズだけに入手性は悪くなく、今からでも手を出して損はしないシリーズだと思います。現在最新刊は12冊目の「ウィザーズ・ブレイン VII 天の回廊<中>」ですが、刊行ペースは大体年1冊くらいとゆっくり目です。
とはいえ、2桁だと気軽に手を出す気にならないんだけど、と言う方もいるかも知れません。1巻だけで基本的に完結しているので、まずは試しに1巻だけというのもアリですね。

ところで天の回廊になってからクレアがやばい可愛いんですけどどういうことですか!

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