のべかん第14回 ~I love Dr Pepper~
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第14回の「のべかん」は桜坂洋氏の「よくわかる現代魔法」です。
新装版が発売されたり(1巻だけだけど)アニメ化が決定したり(私はテレビ持ってないので見られないけれど)シリーズが再開したり(待望の6巻。しかし発売延期!)と、最近元気のいい「よくわかる現代魔法」。
さて、現代魔法ってなんぞ、というのが本シリーズのタイトルを見て必然的に発生する疑問かと思います。
要するに魔法を使うためには「コード」という「呪文」が必要であり、この「コード」をどうやって「唱える」かで現代魔法と古典魔法に大別されます。古典魔法は人間の筋肉にコードを流すことで魔法を使うのに対して、現代魔法はコンピュータ(つまるところCPU)を使って魔法を使うというわけですね。
現代魔法は複雑なコードは使えないけれど、言われたことを馬鹿正直に繰り返すコンピュータの性質を使って力業で何とかしてしまおうという、すごく健全な発想のシロモノです。この古典魔法と現代魔法の対比はCISCとRISCの関係にちょっと似ていて、意識したのかどうかは知らないけれど、著者の桜坂氏は元SEという変わった経歴の持ち主なので、実はそうかもしれないし、全く的外れかもしれません。
話としては、ドジで機械と相性が悪く何の取り柄もない森下こよみ(たぶん主人公)が、魔法学校のチラシ(うさんくさいことこの上ない!)に出会うあたりから始まります。怪しいチラシを見て魔法学校にホイホイと出向いてしまった森下こよみは、「現代魔法」使いの姉原美鎖に出会い現代魔法を教わることになるのだった・・・という、ごく普通のラノベです。
美鎖のほかにも「古典魔法」使いのいろいろとハイスペックな一ノ瀬弓子クリスティーナとか、怪しい中国人プログラマのゲーリー・ホアンとか、こよみのクラスの委員長・坂崎嘉穂とか、まあいろいろな人と出会いつついろいろあるわけですよ。
というのがあらすじ。
なんの説明にもなってない気がしますが、まあ気にしない方針で。
こよみはなぜかあらゆるコードを金だらいにしてしまうと言うワケのわからない体質(?)の持ち主だったりするのですが、この「主人公の能力が最強の打ち消し系」という設定の使い方が中二病っぽくならない。すごい!
例えばラノベで無効化系というと「とある魔術の禁書目録」の無能力者・上条当麻とか、「人工憑霊蠱猫」の常能力者・時実さんとかが有名ですが、こよみは金だらいです。こよみは金だらいです。
大事なことなので二回言いました。
格好良さのかけらもない。だけどこの金だらい生成能力をさらっと伏線にしてしまう(あまりにも格好良さのかけらもないのですっかり忘れがちになるという)あたりが桜坂氏のかっこいいところ。
その他の特徴としては、CPUを使って魔法を使うといういい感じの設定もさることながら、いろいろと小ネタが入りまくっていて実に情報系オタク向けのラノベというところです。
すぐ死ぬ主人公として有名なスペランカーは有名すぎるのでさておくとしても、各章のサブタイがアキバのメイド喫茶だったり(今はないところも多いですが)、実にオタク向け。
なんでアキバ系じゃなくて情報系なのかというと、2巻のサブタイがガーベージコレクタだったり(補足しますと、ガーベージコレクタというのはプログラミングの言葉で、プログラムが使わなくなったメモリを自動的に空けてくれる機能のことです。最近の言語にはだいたいついてます。わからないならわからないでいい)、姉原美鎖が関数系言語の研究をやっていたり(関数型言語というのはLISPとかHaskellとかF#とかのことで、最近主流のCやC++やJavaなどは手続き型言語といわれます)という、情報系にはついニヤニヤしてしまう部分があるからなのです。
ですが。
個人的なおすすめポイントはそんなところではなくて。
委員長・坂崎嘉穂です。嘉穂たんかわいいよ嘉穂たん。「わからないならわからないでいい」「~と思われ」が口癖の泣きぼくろがあってドクターペッパーを愛飲する理系委員長。いろんな意味で最強過ぎる。これだ!
嘉穂たんとスパム(缶詰)がメインの短編「10月はSPAMで満ちている」が、アンソロジー短編集「七つの黒い夢」(新潮社)に収録されていて、個人的にはこれを一番オススメしたい。まあタイトルとは裏腹にあまり黒くない短編集だった気がするのですが。
ちなみに「10月はSPAMで満ちている」では、スパム(缶詰)が人間の食いもんじゃねえ! みたいな書き方をされてますが、食べてみたら意外と普通でがっかりしました。
もっとこう、塩と脂身の固まりみたいなものを想像してたんですが、せいぜいが癖のある魚肉ソーセージ。
そのまま食べる気にはなりませんが、ハムの代わりに使ったりすると結構うまいですよ。ソース焼きそばに使うのも味が濃くなりがちですが結構好きです。「もやしもん」で沖縄の人が言ってた気がしますが、ゴーヤチャンプルーはスパムの方がうまいと思います。もちろん豚肉でもうまいんですが。ゴーヤチャンプルーを作るとゴーヤの苦みと白米がかなり相性がよくてつい食べ過ぎるのが困ります。ちなみに私は豆腐は入れないので、ゴーヤ入り野菜炒め、あるいはゴーヤと肉と卵炒めというのが正確かもしれません。
スパムは輸入系の食品を扱ってるところとか、少し大きめのスーパーなんかだと結構売ってると思いますので、読後に食べてみるといいと思います。個人的には減塩じゃない方が好み。
スパムと言えば就活で羽田-新千歳の国内線を結構使っていた時期があったんですが、羽田空港のフレッシュネスバーガーでスパムバーガーを食べるのを毎回の習慣にしていたことがありました。最後に行ったときにはメニュー改訂でなくなっていたのが大変残念です。今はあるんでしょうか。
とりあえず「よくわかる現代魔法」には宮下未紀氏の表紙絵の印象とは裏腹にあんまり萌え要素は含まれていません。小ネタは多量に含まれています。小ネタ好きならオススメ。情報系のオタクなら文句なしにオススメ。情報系のオタクじゃなくてもオススメ。
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