のべかん第16回 〜青虫の話も忘れないであげてください〜
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さて、本日は入社式ですが皆様いかがお過ごしですか。
絶対に働きたくないでござる!
今回は小川一水の『時砂の王』でいこうかと思います。
本作は時間遡行もののSFなので、ラノベというのもどうかなあと思うんですが、表紙がアンドロイド(作中では知性体といわれてますが)と卑弥呼とJu87(たぶん)というのは間違いなくラノベ。
舞台は西暦2598年。26世紀の人類はETと呼ばれる謎の機械群により地球を壊滅させられていた。生き残った7%の人類は海王星圏にまで撤退。なんとか攻勢に出られる程度まで勢力を回復させていたが・・・、劣勢を悟ったETの一部が劣勢を打開するために歴史改変を試みる。行き先は480年前。
オーヴィル達、メッセンジャーと呼ばれる知性体は過去の人類へ、未来からの援軍としてETの脅威を伝えるために時間を遡ることになる。
メッセンジャー達の戦闘は基本的に負け戦で、どうにもならなくなったらその時間枝を見捨ててさらに過去に遡行する、という事を延々と繰り返し、最終的に10万年前のアフリカ大陸、現生人類発祥の地まで遡っていく。
統括知性体と大多数のメッセンジャーは10万年前のヴィクトリア湖畔に定住し、ETを迎撃し続ける事を選択。しかし、オーヴィルと24人のメッセンジャーは見捨てられる10万年間の時間枝を守るために別行動をとる。
そして248年の日本で、オーヴィルは卑弥呼に出会う。人類の未来をかけた、孤独な戦争が始まる。
というのがあらすじ。
時間遡行ものとしては、タイムパラドックスは避けようがないのですが、本作ではオーヴィル達メッセンジャーは出発した時間枝には戻れないという片道切符です。過去に戻って歴史に手を加えた時点で別の時間枝が発生するので、未来は新しく派生した時間枝の未来になってしまう。
分かりやすく言うならバック・トゥ・ザ・フューチャー2でビフが金持ちになっていたりとかそんなの。
すべての時間枝に生きる、過去未来の『人類』を守るという任務に納得しながらも、自分が生まれた時間枝を思うオーヴィルの心境や、宇宙人が攻めてきたくらいで人間が一致団結するわけもないという現実や、滅んだいくつもの時間枝が淡々と描かれ、そしてラストの卑弥呼の・・・彌代の決意が泣ける。
ETが人類を攻撃する理由も中盤で明らかになるのですが、それには触らないでおきましょう。
本作と『老ヴォールの惑星』で小川一水ファンになりました。
『ALL YOU NEED IS KILLl』(桜坂洋)とか『永久帰還装置』(神林長平)とかマブラヴ オルタナティブ(age)とかが好きなら文句なしにオススメですよ。